PC-DMXコントローラーの種類と特徴
ステージライティングなどの演出照明をコントロールする為の調光器でパソコンに接続して使用するタイプがあります。このタイプはパソコンに依存する事でコンパクトにそして低価格に抑えられるものが多いのですがそれぞれいいところ悪いところがありどの製品を選んでいいか悩むところです。
ここではこれら様々な機器の代表的なものをセレクトしそれぞれの特徴を知る限りでご紹介したいと思います。
まずは高級機種から。これらは本卓のPC版で共通の操作性を持ち、実際にフェーダーやボタンなどを装備して素早い打ち込みや実演が可能となっています。
■MAライティングテクノロジー(独)MA on PC command wing
恐らく全ての照明卓の頂点に位置するであろうGrandMAのPC卓(ウィング)です。DMXは2ポート(1024) 価格は78万円(日本代理店価格)
モバイル卓としてはちょっと大きめでフェーダーが6本と少ないです。ショーによっては足りないので別売りのフェーダーウィングを購入する事になりますがこれまた57万と結構なお値段であわせると135万円にもなります。グランマ使いの人、GOオンリーで作る人、音モノで事前打ち込みしてあったり、現場にて据え置き型のグランマがあって打ち込みだけに使うとかによろしいかと。MAシリーズ共通で3Dビジュアライザーが使えるのも便利です。ただPCはそこそこスペックが必要となりますので注意が必要ですね。タッチパネルで2画面くらい使えてCPUも早くてグラボも良いヤツ・・PCの選択肢は正直難しいです。マルチ画面が特長のグランマだけに画面が限られてくると操作性が著しく低下してしまう可能性もあります。周辺機器次第??詳しくは代理店さんに相談してください。
有限会社タマテックラボ
■Avolites エボライツ(英)TITAN mobile タイタンモバイル
昔ながらのロックボードを継承しつつ最新のテクノロジーを導入した照明卓メーカーのAVOLITES社がリリースするPC卓です。DMXは4ポート(2048)と多め。価格は85万くらい。フェーダーが最初から10本もついていますので実演実機として十分使えます。また別売りのフェーダーウィング20本を追加すれば1ページで30本ものフェーダーを実装できます。ロックボーダーな方大喜び?
エフェクトについてやや難がありましたが最近のバージョンで結構良くなったようですね。1画面でも操作性は良好。結構小型なんで持ち運びもラクラクと長所は多いかと。ただバージョンアップがかなり多くしかもバグが多くてリリースしてすぐには怖くて使えません。iPhoneのOSアップみたいな感じで様子見してからって感じがいいでしょう。またセキュリティーが厳しくて面倒です。標準のビジュアライザー全然ダメで使えません。最悪なのはフィクスチャーライブラリで自作するのは結構難解です。(Avolites社に依頼するとすぐに作ってくれるそうですけど・・不明)PCのパワースペックは普通で問題ないです。Surface proなんていいと思いますよ。
続いてデバイスという事に特化した製品。これらは大きく大別してクラブやショーなどのエンターテインメント向けとイルミネーションや施設照明に特化したタイプとに分かれます。エンターテインメント向けはパソコン上で操作したりMIDIコントローラーと連携してキューを実行したりします。施設向けはタイマーでの自動実行機能、外部接点でのキュー実行、本体でのスイッチやパネルボタンでの操作などが可能となります。
■NICOLAUDIE SUNLITE SUITE2 ニコラウディー サンライト スイート2(仏)
航空機のシートグレードみたいなグレードがあります。それぞれの特徴は下記リンクを参照。価格は6万円~13万円程度
SUNLITE SUITE2 グレード別機能一覧
ボンダイカラーな透明ケースに収容されたPC卓で見た目はチープです。ただし機能は結構すばらしくコストパフォーマンスは高いです。プログラミングはなかなか難解で上級照明卓とは基本的考え方が異なるようです。灯体ごとにシーン、ボタン、サイクルの3つのキューを駆使してキューを作成してマスターで統合させる。ポジション、カラー、ゴボ、エフェクトなどはスイッチにして別のスイッチと同時実行させる事で新たにシーンを作成して・・・大変です。特にすべてのムービングのエフェクトでのポジションを変えるとなるともう諦めて最初から作った方が速いという(笑)。あくまでもステージというよりクラブなどのライティングを作っていくのに向いているでしょう。
ただ機能は豊富です。3Dビジュアライザーは本格的でかなり使えます。またEasy Showという音源または映像のタイムラインにキューを並べて行って完全なショーを作る事も可能です。(FC)これはMIDIのタイムコードなどのきっかけで実行できますので無人でのショーに役立ちます。またMIDIコントローラーを接続してキューや明るさ、スピードなどをリアルタイムに変更する事もできます。ただし打ち込みでの操作としてはまったく使えずあくまでも実行時の操作のみになります。
他にもDMXの信号をアナライズできたりとテスター的にも使えます。(結構使ってますこの機能)1箱でいろいろ使えるけど操作は難解(だと思う)PC卓です。
■NICOLAUDIE SUNLITE Easy Stand Alone ニコラウディー サンライト イージースタンドアローン(仏)
同じくニコラウディー社の施設向けPC卓です。価格は3万円台~7万円台程度。エンターテイメント向けのようなムービングを操作したり(できますが)ショーの複雑なプログラミングなくEasy Stand Aloneの名前どおり簡単操作で照明をコントロールできます。最大の特徴はビジュアル上でDMXフェーダーを上げ下げする事でキューを作成するというアナログ卓さながらの単純さ(ESA PROは別)と自身のメモリーに記憶してパソコン本体と切り離してもショーの再生ができる。という部分です。
もちろんエフェクトも搭載していますのでチェイスやいろいろ面倒な設定も簡単に作る事ができます。これにはその灯体のフィクスチャーライブラリーが必要なのですがSUNLITEシリーズはフィクスチャー作成がとても簡単なのですぐに作れます。またESA(EasyStandAlone)ではフェーダーという概念でプラグラムするので別段フィスクチャーライブラリーが無くても問題ないです。またSUNLITE共通の3Dビジュアライザーが使えます。本体のスイッチでのショーを切り替えての再生、外部無電圧設定でキュー選択とパソコン無しでの実行もかなりお得意です。
このシリーズもグレードによって様々な機能が使えるようになります。下記参照ください。
SUNLITE ESAシリーズ機能一覧
簡単に紹介しますと最下位のU9は256チャンネル限定 本体にインジケーター含まず(現在どのシーンが再生されているかわかりません)記憶できるシーンも20までとかなり限定的です。その上のU8が512チャンネルの標準的なグレードでIPが付くとLANケーブルに挿してIPでの環境に対応できるようになります。(512~1024チャンネル)迷ったらU8がよろしいかと思います。
■NICOLAUDIE SUNLITE STICK ニコラウディー サンライト スティック(仏)
このPC卓はEasyStandAloneのケース前面にグラスタッチのボタンを装備したモデルでまさに壁に埋め込んで使う完全に施設器具に特化したPC卓です。価格は3万円台~10万円台程度。プラグラミングはESA共通です。キュートリガーとしてそれぞれのボタンに割り当てできますのでESA標準よりもESA PROなどの専用OSでプラグラミングしたほうが楽でしょう。概念は変わらずです。
■Avolites Titan ONE エボライツ タイタン ワン(英)
USBメモリーのような形状でパソコンのUSBポートに直接指して使用可能な非常にコンパクトなPC卓です。価格は3万円弱。
コンパクトながら機能は凄く1ポート512チャンネル限定ですがなんと上位タイタンシリーズとほぼ同等の機能を持っています。実際の実演や打ち込みでの操作性についてはパソコンでマウスでやらなければいけない(実はこれが最大に面倒)のですが出来る事はほぼかわりません。一般灯体、ムービングおりまぜ更にはピクセルマッパーをも全部操作できます。まぁ512チャンネルまでですのでかなり限定的にはなりますが完全に作りこんでGOだけでOKなショーなら相当使えるでしょう。また、裏技(と言っても有名ですが)Art-Net出力に変更してキャノンからDMX信号を入力させる事で10本フェーダーのアナログ卓でのキュー操作も可能になります。ただし、アナログ卓、Art-netのインターフェース(ENTTEC ODE等)を用意しなければいけないので費用は結構高くつきます。それでもこの価格でAvolitesのTitan互換の照明卓が使えるのはかなりお得ですが。
イケてないのは打ち込み。パソコン内で通常卓と同じように操作して打ち込んでいくのは結構ツライです。また実行も同じく。MIDIと連携できたら最高なんですけど現時点では未対応。こんなに安いので仕方ないというべきでしょう。照明のテストやタイタン卓の練習には最適です。
以上、自分が扱っている範囲で紹介いたしました。このほかにもマーチンのライトジャッキーとかホグのPC卓とかダスライト・ルミディスクとかまだまだ沢山のPC卓があります。価格と使用するシチュエーションに応じて選定するのがよろしいかと思います。
次回はそれぞれのPC卓での実際のプログラミングについて言及していきたいと思います。
※これ以前で各PC卓の説明もあります。関連記事をどうぞ参照ください。